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专栏 / 2024.10.17

外国人が受け取れる「脱退一時金」とは?手続き方法や企業側の注意点もわかりやすく解説

外国人が日本で働く際に加入する社会保険制度には、脱退一時金という制度があります。この制度は、外国人が日本を離れる際に支払った保険料の一部を返還するものであり、受給条件や手続き方法には様々な注意点があります。本記事では、「脱退一時金」とは何かから始めて、手続き方法や受給条件、さらには企業側が注意すべき点まで、詳しく解説していきます。

内容
1)外国人が受け取れる「脱退一時金」とは
■2021年に支給上限が改正(支給上限が「3年」から「5年」に引き上げ)
2)脱退一時金の種類
■国民年金の脱退一時金
■厚生年金保険の脱退一時金
3)脱退一時金の手続き方法
■脱退一時金の請求に必要な書類
4)母国への保険料が免除になる仕組み
■社会保障協定を結んでいる国
■複数回申請することが可能
5)脱退一時金に関する企業側の注意点
■手続きは本人または代理人が行うものであることを伝える
■加入期間の取り扱いに注意する
■支給額の概算額を伝える際の注意
6)脱退一時金の注意点
■10年以上の受給資格期間がある場合
■複数回、脱退一時金の申請を行う場合
■帰国前に請求する場合
■再入国許可を受けている場合

 


1)外国人が受け取れる「脱退一時金」とは
脱退一時金は、日本の社会保険制度において、保険料を支払った後に外国人が日本を離れる際に、支払った保険料の一部を返還する制度です。この制度は、外国人労働者や短期滞在外国人が日本で保険料を支払っているにも関わらず、日本を離れることになった場合に、掛け捨てにならないようにするために設けられました。
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■2021年に支給上限が改正(支給上限が「3年」から「5年」に引き上げ)
2021年(令和3年)4月より、支給額の計算に用いる年数の上限が「3年」から「5年」に引き上げられました。それまでは、日本に5年間勤務した後に脱退一時金を請求する外国人の場合、日本で支払った厚生年金保険料の3年分が払い戻しされていました。つまり、2年分の厚生年金保険料は戻ってこなかったということになります。法改正後は、このような実態が是正され、5年分の脱退一時金が正しく支払われるようになりました。
(参考)脱退一時金の支給上限が引き上げられたと聞きましたが、具体的にはどのように変わったのですか。|日本年金機構

2)脱退一時金の種類
脱退一時金には、「国民年金の脱退一時金」と「厚生年金保険の脱退一時金」の2種類があります。どちらも保険料の一部を返還する制度であり、支給される額の計算方法には違いがあります。

国民年金の脱退一時金
国民年金の脱退一時金を受け取るには、すべての受給要件を満たしている必要があります。また、支給額に関しては、計算式に伴って計算されます。
※国民年金法附則第9条の3の2

受給要件
国民年金の脱退一時金を受け取るためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
・日本国籍を有しないこと:外国籍であることが条件です。
・公的年金制度の被保険者でないこと:国民年金または厚生年金保険の被保険者でないことが求められます。
・保険料納付済期間を6か月以上有すること:国民年金第1号被保険者としての保険料を少なくとも6か月以上支払っている必要があります。
・老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていないこと:老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていないことが条件です。
・障害基礎年金等の受給権を有したことがないこと:障害基礎年金等の受給権を一度も有していないことが必要です。
・日本国内に住所を有しないこと:日本国内に住所を持っていないことが条件です。
・日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求を行うこと:日本に住所を持っていたが、その住所を失った日から2年以内に請求を行う必要があります。

支給額
国民年金の脱退一時金の支給額は、以下の計算式によって算出されます。
「支給額」 = 「最後に保険料を納付した月の属する年度の保険料額」 × 「1/2(二分の一)」 × 「保険料納付済期間等に応じた数」

支給額の計算に使用する「保険料納付済期間等に応じた数」は、保険料納付済期間に応じて以下のように定められます。

保険料納付済期間等
6か月以上12か月未満 6
12か月以上18か月未満 12
18か月以上24か月未満 18
24か月以上30か月未満 24
30か月以上36か月未満 30
36か月以上42か月未満 36
42か月以上48か月未満 42
48か月以上54か月未満 48
54か月以上60か月未満 54
60か月以上 60

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■厚生年金保険の脱退一時金
厚生年金保険の脱退一時金を受け取るには、すべての受給要件を満たしている必要があります。また、支給額に関しては、計算式に伴って計算されます。
※厚生年金保険法附則第29条

受給要件
厚生年金保険の脱退一時金を受け取るためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
・日本国籍を有しないこと:外国籍であることが条件です。
・公的年金制度の被保険者でないこと:国民年金または厚生年金保険の被保険者でないことが求められます。
・厚生年金保険の被保険者期間を6か月以上有すること:厚生年金保険の被保険者として少なくとも6か月以上保険料を支払っている必要があります。
・老齢厚生年金の受給資格期間(10年)を満たしていないこと:老齢厚生年金の受給資格期間(10年)を満たしていないことが条件です。
・障害厚生年金等の受給権を有したことがないこと:障害厚生年金等の受給権を一度も有していないことが必要です。
・日本国内に住所を有しないこと:日本国内に住所を持っていないことが条件です。
・日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求を行うこと:日本に住所を持っていたが、その住所を失った日から2年以内に請求を行う必要があります。

支給額
厚生年金保険の脱退一時金の支給額は、以下の計算式によって算出されます。
「支給額」 = 「平均標準報酬額」 × 「支給率(保険料率の1/2(二分の一) × 受給権の期間に応じた数)」

支給額の計算に使用する「受給権の期間に応じた数」は、以下の通りです。

被保険者期間
6か月以上12か月未満 6
12か月以上18か月未満 12
18か月以上24か月未満 18
24か月以上30か月未満 24
30か月以上36か月未満 30
36か月以上42か月未満 36
42か月以上48か月未満 42
48か月以上54か月未満 48
54か月以上60か月未満 54
60か月以上 60


3)脱退一時金の手続き方法
まず、手続きを行うには、「社会保険の資格を喪失してから2年が経過していない」ことと、「日本に住所がない」ことが条件となります。したがって、外国人労働者は日本を出国した後に手続きを行います。

手続きを行うのは、外国人労働者本人または代理人であり、請求書や添付書類は日本年金機構本部や各共済組合に提出されます。提出方法は郵送や電子申請が可能であり、また日本に一時滞在する場合は、年金事務所や年金相談センターでの窓口提出も可能です。提出時期は、日本の住所を失った日から2年以内です。

■脱退一時金の請求に必要な書類
次に、「請求するときに必要な書類等」についてです。脱退一時金請求書と添付書類が必要であり、脱退一時金請求書は14カ国語に対応した外国語と日本語が併記されています。添付書類には、パスポートの写しや日本国内に住所を有していないことが確認できる書類などが含まれます。また、企業が代理人となる場合には、特に退職前に必要な書類を準備する必要があります。
・パスポートの写し(氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格の確認が出来るページ)
・住民票の除票の写し、パスポートの出国日が確認できるページの写し
・請求者本人の口座名義であることを確認出来る書類
・基礎年金番号通知書、年金手帳等の基礎年金番号を示す書類
・代理人が請求手続きを行う場合の「委任状」

英語 中国語 韓国語 ポルトガル語 スペイン語 インドネシア語 フィリピノ(タガログ)語
ベトナム語 ミャンマー語 カンボジア語 ロシア語 ネパール語 モンゴル語 タイ語

「脱退一時金裁定請求書」はこちらから
脱退一時金に関する手続きをおこなうとき

脱退一時金を受け取ることで年金加入期間が変更される点や、住所の変更や再入国許可と加入期間に関する留意点があります。これらの注意点は、請求手続きを行う際に確認する必要があります。
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4)母国への保険料が免除になる仕組み
脱退一時金は、社会保障協定を結んでいる国に限り、日本で働いて納めた保険料を母国での保険料に還元することができます。支払った年金保険の受け取りは、帰国後2年以内である必要があります。また、日本出国後すぐに脱退一時金を受け取らない場合は、加入期間を通算して老年年金として受給することが可能です。脱退一時金の支給を受けた場合、母国の年金加入期間には通算されなくなってしまうため、脱退一時金受け取り有無の確認を行うことが大切です。

■社会保障協定を結んでいる国
社会保障協定を結んでいる国は以下になります。
詳細については、日本年金機構ホームページにてご確認ください。

【各国との社会保障協定発効状況および協定相手国の情報】
ドイツ、中国、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、イタリア、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン
(参考)日本年金機構 社会保障協定

■複数回申請することが可能
脱退一時金の受給回数には制限がないため、複数回の申請をすることが可能です。その場合、加入する期間が通算で3年以上になる必要があります。また、脱退一時金を複数回申請する場合は、帰国の都度、請求を行う必要があります。

5)脱退一時金に関する企業側の注意点
外国人従業員が退職し、母国に帰国する際など、脱退一時金に関して企業側が元従業員にできることや注意点を紹介していきます。

■手続きは本人または代理人が行うものであることを伝える
脱退一時金の支給申請手続きは企業ではなく、請求者(本人または代理人)が行うものです。外国人労働者に対して、企業が手続きをするものではないことを明確に伝える必要があります。誤解が生じると、手続きが滞りトラブルの原因となる可能性があります。

■加入期間の取り扱いに注意する
脱退一時金を受け取ると、対象となった年金加入期間は加入していなかったものとして扱われます。社会保障協定により加入期間の通算が認められる場合は、帰国後に再来日する可能性があるため、受け取るかどうか慎重に考える必要があります。

■支給額の概算額を伝える際の注意
脱退一時金の支給額の概算額を伝える際には、実際の支給額との誤差を伝えることが重要です。モデルケースとして概算額を提示することで、外国人労働者が理解しやすくなりますが、実際の支給額との差異を認識させることが必要です。

これらの注意点を適切に伝えることで、外国人労働者が脱退一時金に関する手続きを適切に理解し、円滑に進めることができます。
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6)脱退一時金の注意点
最後は、脱退一時金に関する注意点をいくつか紹介していきます。

■10年以上の受給資格期間がある場合
10年以上の受給資格期間がある場合、老齢年金を受ける権利を得るため、脱退一時金を受け取ることが出来ません。ただし、この制度は2017年8月に施行されたため、2017年7月31日までに脱退一時金の請求をした場合は、脱退一時金を受けとることができます。

■複数回、脱退一時金の申請を行う場合
脱退一時金は、36ヵ月を上限として、日本の年金制度に加入していた期間が計算されます。日本の年金制度に37ヵ月以上加入していた方で加入期間に応じた脱退一時金の受給を希望する場合、在留資格の種類毎に請求をする必要があります。

■帰国前に請求する場合
脱退一時金の受給要件に、日本年金機構が請求書を受理した日に日本に住所を有していないことがあげられます。そのため、帰国前に脱退一時金を請求する際には、請求書を住民票の転出(予定)日以降に日本年金機構へ提出する必要があります。郵送の場合には、請求書が転出(予定)日以降に日本年金機構に到着するよう注意しなければなりません。

■再入国許可を受けている場合
再入国許可を受けて出国する場合、転出届を提出している時に限り脱退一時金を請求することができます。転出届は、国外へ住所を移す際に提出可能です。転出届を出した翌日から2年間が脱退一時金の請求可能期間となります。

転出届を提出せずに出国した場合は、再入国許可の有効期限が経過するまでは脱退一時金の請求が出来ません。
(出典)日本から出国される外国人のみなさまへ


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